日本郵便、在宅患者向けに薬宅配 調剤薬局と提携
在宅医療の推進の拡大につながるか
日本郵政グループの日本郵便が薬の宅配を始める。医師の処方箋をもとに薬を出す調剤薬局の最大手と提携し、5月にも東京、札幌、名古屋の三大都市圏で在宅患者向けに処方薬などを宅配便の「ゆうパック」で運ぶ。政府は医療費抑制に向けて在宅医療の拡大を推し進めており、民間企業も対応サービスを強化している。
日本郵便が提携するのはメディカルシステムネットワーク。全国で調剤薬局を展開し、約1400の薬局を系列に持つ。処方薬など医療用医薬品の宅配を事業化するのは国内で初めてだ。
新たなサービスは医師が認め、メディカル社の薬局と契約書を結んだ患者が対象。宅配できる薬は錠剤や点滴の液剤など薬剤師が問題がないと判断したものだけだ。
在宅医療を受けている患者はまず医師の診断を受け、処方箋をもらう。薬剤師は患者の自宅や入居する介護施設などを訪問し、対面で薬の飲み方などを指導する。その後、薬局から患者の自宅や施設にゆうパックで薬を送るしくみだ。
医師の処方が必要な薬は、安全性を確保するため薬剤師が患者に直接会って説明する「薬の対面販売」という原則がある。今回のサービスでは薬の飲み方などを直接指導することで、この原則を守る。法律で禁止されているインターネットなどを通じた処方薬の通販とは異なる。
今回のサービスでは医師が処方箋を出すたびに薬剤師が患者に直接会う必要があるが、薬剤師としては重い点滴の液剤などを運ぶ必要がなくなる。薬剤師は人材不足感も強まっており、日本郵便が薬を運ぶ手間を肩代わりする。
日本郵便は今後、介護系用品メーカーなどにも提携相手を広げてサービスを充実させる。将来は宅配する商品を介護用おむつをはじめとする日用品などにも広げる。
厚生労働省の調査では、2014年の在宅医療患者は1日あたり15万6400人(推計)となり1996年の調査開始以来最多になった。4月からの診療報酬改定でも診療報酬を増やすなどして在宅医療を促している。
日経:http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS31H3S_R30C16A3MM8000/?n_cid=NMAIL001