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骨太の方針2016で介護離職ゼロ。実現性は不透明

骨太の方針2016で介護離職ゼロ。実現性は不透明

政府は「骨太の方針」(経済財政運営と改革の基本方針2016)を閣議決定した。経済環境に大きな懸念材料はなく、実質GDP成長率は2%を目指すという。また高齢化の影響が大きいため、その対策を進めるという。60歳以降の就業率を高めるとともに、医療や介護分野では給付抑制をすすめる。

発表された基本方針のなかで目新しいものは少ない。介護環境の課題としては人材確保や特養ホーム待機問題、介護離職などを指摘しているが、それを解消できるだけの施策は打ち出されていない。全体としては給付抑制の流れにあるため、市町村など含めて、今後の施策動向からは目が離せない。

「経済財政運営と改革の基本方針2016」のなかで、高齢者・介護に関連する部分を紹介する。すでに取り組みが始まってる施策がほとんどという印象だ。給付抑制策が目立つなかで、認知症ケアを積極的に推進する点には注目したい。

★高齢者の就業推進
・65歳以降の継続雇用延長、65歳までの定年引き上げを行う企業に対する支援を実施する。
・高齢者の再就職受入支援や就労マッチング支援を強化する。

★介護の環境整備
・介護サービスを充分に利用できないことによる離職をなくす。
・家族が要介護になったとき、介護の情報を職場で得られるようにする。
・介護休業制度の普及
・特別養護老人ホームの待機を解消する。
・地域包括ケアを推進するために、介護ニーズの調査を実施する。
・国有地の利用をを推進する。
・介護人材の給与を引き上げる。
・新オレンジプラン(認知症施策推進総合戦略)で認知対策を強化しながらすすめる。
・地域包括支援センターの強化、認知症サポーターの養成、認知症初期集中支援チームの設置、成年後見制度の利用促進など。
・健康寿命の延伸のために、現役時代からの取り組みを推進する。

★地域共生社会の実現
・障害者や癌患者などが地域で暮らせる仕組みを構築する。

★社会保障の基本的な考え方
・国民皆保険・皆年金を維持
・医療・介護の予算を圧縮する。とくに薬価・調剤、生活保護、年金について検討する。
・保険者努力支援制度や後期高齢者支援金の加算・減算制度等について具体的な指標を検討する。
・疾病予防・健康づくり等に関するインセンティブ強化を実現する。
・メンタルヘルスなど精神医療の質の向上を図る。

★介護の基本的な考え方
・地域包括ケアシステムの一層の推進、地域差の縮小も実現する。
・要介護度別認定率や一人当たり介護費等の地域差を適正化する。
・保険者機能の強化、市町村による高齢者の自立支援・介護予防等を通じた給付の抑制に取り組む。
・行政が求める帳票等の文書量の半減に取り組む。
・介護ロボット・ICT等の次世代型介護技術の活用による介護の質・生産性の向上を進める。

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